新年度塾選びの季節だが、「学校の成績を上げる」のが目的なら「寄り添うだけでいい」はずだ


受験生は入試の時期ですが、これから受験生という方たちは塾探しのシーズンみたいですね。新年度生徒募集の塾チラシをよく見かけるようになりました。 

先日、指導形態の違いが朝日新聞の朝日進学情報に紹介されてました。 

中学受験用の記事でしたが、集団指導と個別指導の違いが紹介されてました。


中学受験と大学受験は一発勝負という点で共通していますね。だから受験勉強の為に学校を休んだり、学校の授業をおろそかにする人もいます。

また、中学受験や大学受験は「受験してもしなくてもいい」という選択もあるということでも共通してます。地元の中学に進学するのもありですし、大学受験せずに専門学校や就職する道もあります。

これらに対して、高校受験は違ってきます。ほぼほとんどの中学生が受験します。また、「学校の成績」が入試の合否に影響してくることが多いです。

したがって、「学校の成績」「受験の準備」の両方の対策をやらないといけません。

ここで注意したいのが、塾を探すときに、どちらを優先するのかを考えないと塾選びに失敗してしまいます。

「学校の成績が下がってきた。塾に行かないと。」
このケースが一番多いのではないでしょうか。

つまり、「学校の成績をまず上げたい」というケースが一番多いと思います。


「受験の準備」したいということであれば、中3からでも遅くはありませんよ。よく「早めに受験の準備をしないと間に合わない」みたいなことを広告・HPで煽っていますけど、中学の指導範囲外の出題が出される高校を受験するのでなければ間に合わないということはないでしょう。

以前ご紹介した「さくら進学塾」は公立上位校を受ける生徒専用の塾ですけど、基本の受講コース「中3から」となっていますね。

だから、受験準備が目的であれば、中1・中2の頃は体験・講習を利用して中3から通う塾探しをすればいいでしょう。こういう形での塾利用が一番コストかかりません。お試しですから。受験目的なのに「通わないと大変なことになりますよ」という不安を煽る塾は、通ったとしてもたいして効果の出ないブラック塾ですから候補からはずしてしまえばいいんですよ。

話を戻しますと、塾を探す原因としては「学校の成績が低迷してきたこと」が多いということでした。この状態では、早く何らかの手を打った方がいいでしょう。

こういうケースでは、「学校の宿題を計画的に進めていない」「学校の授業についていけていない」などの理由が考えられます。

こういうときに、「塾の勉強」と「学校の勉強」を二重に行うのは危険です。子どもを追い込むだけです。「通信教材」でもそうです。教材をためてしまうだけです。

こういう状態のときには、学習時間を「学校の勉強だけに絞る」ことが大事になってきます。

その際に、「テストの問題の出題分析」と「テスト結果の分析」を最初に行うのがいいでしょう。「学校の勉強」のどこに力をかけたらいいかを考えます。

「学校のワークからの出題が多いのにワークをちゃんとできなかった」
「学校のノートから出題されているのに、直前に見直さなかった」
「テスト範囲の学習のポイントに書いてあるところが出題されているのに従わなかった(出題範囲のページしかみていなかった)」
など具体的な反省が必要です。

一般的な塾に通っても、このような作業は自分で行わなければいけません。塾の先生も忙しいので、試験範囲に対応する塾のワークをやってくれるだけです。

私が個別指導の塾長時代に中学生全員分(5教科分)を講師と一緒にやろうと頑張りましたが、かなり大変でした。成績不振の子、中心に行うので精一杯でした。塾の仕事の本来業務に入っているわけではないので(そもそも受講科目以外はノータッチが原則)、他の教室ではほとんどやっていなかったと思いますね。

しかし、本当に学校の成績を上げていくとすると、この部分にメスを入れなくてはいけません。これはご家庭で一緒にやらないと厳しいかもしれません。ただ、それは思春期の中学生は嫌がるかもしれませんけど。

それが難しいようであれば家庭教師もありかもしれません。ただ、そういう作業が必要だということを理解している家庭教師の人がどれくらいいるかはわかりません。相当ベテランの方でないと難しいでしょう。

ここでも「塾の授業中心」「科目分断」という塾業界の常識が壁になってきていると思いますね。塾に相談しても「授業を受けた方いい」となりますし、科目ごとの話なのでトータルで把握してくれるわけではありません。個別指導であれば、英語受講なら英語の成績だけはみてくれるかもしれませんけど、全科目寄り添ってくれるわけではありませんから。

このように、「学校成績低迷」で塾を探すのかもしれませんけれど、成績低迷の原因追及と、そこから抜け出すために寄り添ってくれるのかと思えば、実際はそうではありません。

基本的に塾は「俺について来い」系なんですよ。「秘策の勉強法」とやらを作り出して、それに従ってついてくれば成績上がるよ。というスタンスなんです。

しかし、学校の成績を上げるのであれば、「俺について来い」系で進めるより、「学校ではどんなことをやっているのか」「学校の宿題の進み具合はどうか」「学校でわからないところを優先的にやろう」というような「寄り添う」系がいいはずです。

そこでは、「新たなことを始める必要はない」んです。新たなことにお金をかけて進めるのは非常に非効率です。それは「塾の授業」だったり「塾の教材」だったり「塾内テスト」だったりと塾などでお金をかけてやるものです。

現在通っている学校が提供している情報(試験問題・試験結果・教科書・ノート・ワーク・テスト勉強の指示・学校の宿題)を全て駆使して対策を立てましょう。これはとても効率的でお金もかからず、子どもに負担も少ないはずです。

こうして「学校の学習」に寄り添って、学校の成績が良くなってきてから、受験を意識して「新たなこと」に取り組んでいけばいいのです。お金にならないことなので塾業界ではほとんど誰も言いませんけどね。