個別指導時代の終焉(4)



「週1回1科目で個別指導」というのが個別指導の基本システムです。

 

これで効果が出るのは「自分で勉強できる子だけ」なのかもしれない。

 

 

その理由は、これまで書いてきたように、個別指導はペースが遅く、授業の事前準備をあまり期待できない大学生講師が担当するからでした。

 

実際に、今まで自分がやっていた個別指導塾時代に結果を出した生徒はどんな生徒だっただろうと振り返ってみると、

 

模擬試験・実力テストなどで平均点以上を「ぶっつけ」でも取れる生徒ばかりだったのです。

 

特に効果の薄い学力層が、中3になって初めて模擬試験を受けたときに「偏差値45未満のゾーン」です。

 

このゾーンの子達は、既に学習面で遅れている生徒です。集団授業でもついていけないので、塾に入るときに個別指導塾を選んでやってきます。

 

自分が今まで雇われてやっていた個別指導の教室でも、この45未満の学力層の子達はたくさんいました。おそらく個別指導だと一番のボリューム層がこの「偏差値45未満ゾーン」になるのではないでしょうか。

 

 

しかし、個別指導で効果が出るのは「できる子(DK)」です。なぜなら、一人でもできる子(HDK)だからです。HDKは、塾の形態に左右されないので個別指導でも結果を出してくれます。

 

私たちは、「できない子でもできるようにした」実績があって個別指導が増えていったと考えがちです。

 

しかし、そうではなくて、「集団授業だとついていけない」「家庭教師だと家でやってもらわないとダメ」という「消極的な理由で増えてきた」んですよ。

 

だから個別指導で働いている人たちも、正直よくわからずやっていると思いますよ。

 

それは大手の塾だってそうで、働いていた自分も最後までよくわからなかったんですよ。個別指導形態の良さというのが。

 

むしろ、個別指導の限界ばかりが見えてしまったんです。

 

個別指導に「わかりやすさ」を求めるなら個別指導もアリでしょう。

 

ひとつひとつ納得しながら進めていきたいという気持ちもわかります。

 

だから、「できる子にとっての選択肢の1つ」としての個別指導を選ぶなら問題はありません。 結果も出るでしょう。

 

しかし「勉強できないから個別指導」とするのはかなり危険な選択です。

 

特に、これまで述べてきたように、試験などタイムリミットがあって「進むペースが重要になる場面では、個別指導は時間切れリスクが高いシステム」です。これがわかっていたら、個別指導は選ばなかったという人もいたかもしれません。

 

ただ、個別指導以外の選択肢が今まであまりなかったんですね。それが問題を見えづらくしていたのです。


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