再録・講習用教材の落とし穴


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夏が近づいてきているので、今回は雇われコンビニ系個別指導塾時代に書いた講習用の教材についてのブログを採録します。

 


最近、他教室からヘルプで来てもらった講師に「ここの教室は、夏期講習用の教材使わないんですね。」と言われました。


そういえば、塾では「講習用教材」というものがあって、それを使って授業を行うというのが一般的なやり方なんでした。


そしてその教材を順に教えていく。これは教える方としては楽ですよね。


「はい、じゃあ今日は前回の続きだから・・・P13開いて~」と。これを教材が終わるまでエンドレスにやっていけばいい。担当講師が変わっても引継ぎが楽になります。


ところがうちでは、そういう講習用教材を基本的には使いません。特に受験生です。


 というのは、以下のような問題点があるからです。

講習用教材の問題点①→万人受けする無難な内容になっている

どこにその教材の力点が置かれているか明確ではないんですね。

 

それもそのはず、いろんな県の、いろんな状況の、いろんな塾で使うことが想定されているからです。


講習用教材をペラペラめくってみればわかりますよ。狙いが分散しすぎて、一つの単元の問題演習量が少なくなっています。

 

でも、講習に入る前に、せっかく模試などで「どこができていて、どこが弱いのか」を把握していたはずです。ならば、弱点を補強し、長所を伸ばすための「強弱をつけた学習」が必要になります。

 

ところが、講習用教材は、前述のように無難な内容ですから、そのような学習に対応するのはかなり難しいわけです。したがって、あとは授業を担当した講師頼みとなり、講師の当たり外れリスクを生徒が負うことになります。

講習用教材の問題点②→受験で同じ教材を使うリスク

もちろん質が高いものであれば同じものを使っていいと思いますよ。ただ塾用の講習教材は前述の通り、質の面で疑問があります。

 

そもそも勝負事では、「どれだけ周りと違うことができるか」が重要になってきます。

 

受験ではみんな勉強してきます。そういう状況で、今まであった得点差を逆転したいと考えるなら、みんなと違う勉強をするしかありません。同じメニューで学習すれば、今ある得点差がそのままの結果になります。

 

塾で働くようになって驚いたのが、どこの塾でも同じ教材を使っていることなんですね。てっきりオリジナルの教材でやっているのかとばかり思っていました。最近ではオリジナルっぽいものも、教材会社に頼んで表紙だけつけかえるみたいなこともあるようです。

 

塾名は違うけど、使っている教材は同じで、宣伝するときは「他との違いをアピール」しているのが現状です。

 

事態を複雑にしているのが「それでも、うちの塾は独自のやり方で結果出してる!」ってことが起きるからなんです。

 

でもそれは、時間外労働してまで協力してくれる講師やスタッフがいたことや、学力高めの生徒達がたまたま集まっただけかもしれないのです。

 

そんなたまたまじゃ困ります。受験生にしてみればやり直しできない一発勝負なんですから。

★講習用教材を使いたくなることは、突破口でもある

ところで、「どこの塾でも講習用教材を使いたくなる」というのは、突破口でもあるんですよ。

 

夏休みなど講習の時期、特に塾業界は忙しくなるので、ページ順に授業すれば浅く広く学べる講習用の教材は非常に使いやすくて助かります。したがって、どうしても講習用教材を使いたくなるのです。

 

そこをなんとか我慢して、ひと手間加えた教材を使えば、他の受験生と差をつけることができます。


しかし、これには問題もあって、うちの教室で働くには、どうしても「めんどくさい」作業が入ってきてしまうわけです。ごめんね講師のみんな。そしてご苦労様。