再録『電話かかってくると財布の紐は緩みますからご用心!』

 塾業界パラドクスのブログが好評のようなので、以前書いていたものを少しずつ再録していきます。それでは始めます。

「生徒の数が減っている!」「売り上げがダウン!」「業績悪化!」

と塾業界は騒がしくなってきています。

 

この負の連鎖を止めるべく、塾業界は3つのことに力をいれます。

 


1つめは、「退会を減らすこと」

2つめは、「1人あたりの売り上げを上げること」

3つめは、「経費を削減すること」

 

です。

 

これら力を入れている3つのことが、「生徒・保護者そっちのけ」であることを説明していきます。

 

まずは、「退会防止」編です。

 

退会防止を「効率よく」考える場合、ほとんどの塾が「保護者へのアピール強化」考えます。

 

なぜでしょうか。

 

普通であれば、「成績アップや合格実績を上げればば退会が止まるんじゃないか」と考えるかもしれませんけど、実際は違うんです。

 

それは「非」効率なんですね。

 

・成績アップするかどうか、生徒側に委ねることになってギャンブル性が高くなる。

 

・過去問の分析、失点分析とか、結果を出すための準備に手間がかかる。

 

それだったら、そういうことに時間を費やすより、保護者へ「めんどうみてますよ」アピールした方が手っ取り早い。

 

心理学的にも、接触頻度が高まると好感持ってもらえる確率は高まるといいます。

 

成績は上がらなくても、有効な関係は築けるわけですね。

 

めんどうみのアピールをしていけば、保護者が「うちの子が悪いんです」と言ってくれたりもするので関係は悪化しないというわけです。

 

ビジネスマンタイプの塾屋は、頭がいいから、そこに力を入れます。

 

「塾サービス」というのは、

「お金を支払っている人(保護者)」

「サービスを受ける人(子ども)」が

異なるサービス業ですからね。

 


「出資者である保護者」を取り込んだ方が手っ取り早い。

 

うまくいけば、ちょっとした会話から「うちの子、授業数が足りないのかしら?」なんて言っちゃう人もいます。

 

こうして、売り上げまで上がってしまいますから、一石二鳥なんですね。

 

でもよく考えると、「保護者へのアピール」ってなんか嫌ですよね。恩着せがましいので。

 

それに「電話でひっかける」のって「詐欺師」が使う手法でしょう。

 

「オレオレ詐欺」「母さん助けて詐欺」「振込詐欺」とか。流行の詐欺の手法は全て電話がけから始まります。

 

「電話頻度を上げれば、財布の紐が緩む」ことぐらいわかっていますが、「自分のやっていることは恥ずかしいこともなのかも」という倫理観はなくしたくない。

 

そういうと「塾がつぶれたら倫理観もクソもないだろう」と言う人がいます。

 

でもそんな酷い仕事をしてたってどうせつぶれるんですよ。じわじわ働く人も減っていきますから。

 

同じつぶれるなら、倫理観をもってやっていきたいと私は思いますけどね。